特別支援学級の
担任を長く経験した後、
同じ学校で通常学級の
担任を持った時に、
クラスに発達障がいの
診断を受けていた子が
在籍していました。
その2年くらい前に、
特別支援学級の体験入級を
していた子だったので、
その子のことは、
知っていました。
1学期の終わりごろに
個人懇談会でお母さんは、
「毎年、
子どもの発達障がいについて、
1から説明を
しなければならなくて、
しかも、
理解してもらうのは、
ほんとに
難しいことなんだけれど、
今年は、
説明もしなくていいし、
ありがたいです。」
とおっしゃいました。
その子は、
音に過敏があったので、
急な大きな音が聞こえると、
パニックになってしまう
ということでした。
座席に配慮が必要なことと、
大きな音や声を
出さないようにすることに
気を付けていました。
ずっと、仲の良い友達と
同じクラスでしたが、
その年に初めて
違うクラスになったようで、
初めは、一人で
行動していました。
1学期の終わりころには、
放課など、数人で
行動するようになり、
それなりに
楽しんでいるようでした。
発達障がいについて、
保護者からは、
特に内緒にしてもらうことは
ないと言われていましたが、
あえて、みんなに話すと
いうことはしませんでした。
ある時、授業中に
机間巡視をしている私に、
そっと、「なんか、
いつも聞こえない音がする。」
とその子が訴えてきました。
教室中、窓の外、廊下と
音の鳴っているところを
探すと、廊下の時計の時間を
調整しているようで、
時計の針がくるくる
回っていました。
「時計の時間を
調整しているんだね。
もうすぐ調整し終わると
思うから、ちょっと
我慢だね。」と話しました。
その子は、耳をふさぎ、
耐えていました。
それを、周りの子どもたちが
聞いていて、
「すげー、あの音が
聞こえるの?すげーじゃん~
おれ、全然聞こえないわ。」と、
男の子が言いました。
私は、みんなが聞こえない音が
聞こえることを、
その子の優れたこととして
認めてくれた、
その男の子の発言に、
ものすごくうれしく
思いました。
その後、放課などに時々
「周りの子の声が大きすぎて、
頭がガンガンする。」
と何回か訴えてきました。
その都度、みんなに話すと、
「そうだった~」と、
すぐに静かになりました。
障がい特性としてではなく、
優れた才能として、
認められ生活できることが
可能であることと、
そうやって生活することで
良いことはたくさんあっても、
悪いことは何一つないと、
その一年を通して感じました。
心の優しい子どもたちが
たくさんいて、
私にとって、忘れられない
クラスです。
子供って、計り知れない才能があるんですね。
なんて素晴らしい!!!
周りの子も当たり前が当たり前になる世界はこれまた素晴らしいですね。
子どもの可能性は無限大です。
どれだけ伸ばしてあげられるか、環境によっても左右されることがあります。
感性と柔軟性、回復力・・・どれも、大人の方が負けていますね。